本の言葉 ~私の読書ノート~

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『人間・この劇的なるもの』 福田恒存

      2018/03/05

私たちが欲しているのは、自己の自由ではない、自己の宿命である。

二つの錯覚がある。人生は自分の意志ではどうにもならぬという諦めと、人生を自分の意思によってどうにでも切り盛りできるという楽観と。

私という演戯とは、絶対的なものに迫って、自我の枠を見いだすことだ。自我に行きつくための運動の振幅が演戯を形成する。

ハムレットは劇中人物であると同時に、自己を素材として劇を作らねばならぬ立場に身を置いている。

真の意味における自由とは、全体のなかにあって、適切な位置を占める能力のことである。

なにものかによって自由を奪われていること、それが人間の生きかただからである。

個人が個人の手で生きかたを探求すれば、それはただ全体的な生きかたへの反逆に終わるだけのことだ。

劇の登場人物は、行動家として自己の生を死によって完結するように生きねばならぬということだ。

私たちは認識のためにも、行動しなければならぬ。そして失敗するだろう。それが悲劇の型である。喜劇は、このいきちがいからの脱出を描く、それだけのちがいだ。

(劇場で)かれらのほしいのは生の全体感

必然性というものは個人の側にはなく、つねに全体の側にある。

死は生を癒すものであるばかりでなく、それを推進させるものなのだ。終止符がうたれなければ、全体は存在しないし、全体を眼のまえに、はっきりと見ることができない。

私たちは、劇場においてばかりでなく、人生においてもつねに劇を求めているのだ。

生はかならず死によってのみ正当化される。個人は、全体を、それが自己を滅ぼすものであるがゆえに認めなければならない。それが劇というものだ。そして、それが人間の生きかたなのである。人間はつねにそういうふうに生きてきたし、今後もそういうふうに生きつづけるであろう。








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